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9.222021
公正証書遺言作成する場合の手数料はいくらかかるのか。

1.公正証書遺言作成手数料
遺言の目的である財産の価額に対応する形で、次のとおり、その手数料が定められています。
目的の価額 | 手 数 料 | |
① | 100万円以下 | 5,000円 |
② | 100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
③ | 200万円を超え500万円以下 | 11,000円 |
④ | 500万円を超え1,000万円以下 | 17,000円 |
⑤ | 1,000万円を超え3,000万円以下 | 23,000円 |
⑥ | 3,000万円を超え5,000万円以下 | 29,000円 |
⑦ | 5,000万円を超え1億円以下 | 43,000円 |
⑧ | 1億円を超え3億円以下 | 43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額 |
⑨ | 3億円を超え10億円以下 | 95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額 |
⑩ | 10億円を超える場合 | 249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額 |
なお、上記の基準を前提に、具体的な手数料を算出するには、次の点を留意する必要があります。
【具体的な手数料算出の留意点】
①財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し、これを上記基準表に当てはめて、その価額に対応する手数料額を求め、これらの手数料額を合算して、当該遺言公正証書全体の手数料を算出します。
②全体の財産が1億円以下のときは、上記①によって算出された手数料額に、11,000円が加算されます。これを「遺言加算」といいます。
③さらに、遺言公正証書は、通常、原本、正本及び謄本を各1部作成し、原本は、法律に基づき公証役場で保管し、正本及び謄本は、遺言者に交付するので、その手数料が必要になります。
ⅰ)原本については、その枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書きの公正証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算されます。
ⅱ)また、正本及び謄本の交付については、1枚につき250円の割合の手数料が必要となります。
④遺言者が、病気又は高齢等のために体力が弱り、公証役場に赴くことができず、公証人が、病院、御自宅、老人ホーム、介護施設等に赴いて、遺言公正証書を作成する場合には、上記①の手数料が50%加算されることがあるほか、公証人の日当と、現地までの交通費が掛かります。
<日当:1日2万円、4時間まで1万円>
2.具体的な事例の説明
遺言公正証書の作成手数料は、各相続人・各受遺者ごとに、相続させ又は遺贈する財産の価額により目的価額を算出し、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。
例えば、総額1億円の財産を妻に6,000万円、長男に4,000万円の財産を相続させる場合には、
妻の手数料は、上記「1.公正証書遺言作成手数料の基準の⑦」により、43,000円。
長男の手数料は「1.公正証書遺言作成手数料の基準の⑥」により、29,000円となり、合計額は、72,000円ですが、「留意点の②」により、11,000円が加算され、手数料は、83,000円となります。
当該手数料に、「留意点の③」の費用が加算されることとなります。
横書き原本5枚を要した場合は、原本超過分2枚250円×2=500円
正本(5枚)及び謄本(5枚)は、10枚×250円=2,500円。合計:3,000円
総計:上記83,000円+3,000円=86,000円です。
なお、祭祀の主宰者の指定を行う場合は、さらにその手数料として、11,000円が必要となります。
3.公正証書遺言の保存期間
公正証書の保存期間は、20年となっています。なお、特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間は保存しなければならないと定められており、現在の運用では、半永久的な保存や遺言者の生後120年間保存しているようです。
なお、遺言書(特に公正証書遺言)の作成については、じょう行政書士事務所まで。
<お知らせ>
じょう行政書士事務所では、『遺言・相続手続き』講座を毎月第2・4土曜日に開催しています。
【ひとこと終活ガイド(その3)】
今回は、葬儀の続きです。近年増加している『直葬(火葬式)』とは、通夜や葬式などの宗教的な儀礼をおこなわず、安置所(病院や自宅など)から火葬場へ直行するお別れの方法です。『直葬(火葬式)』が伸びている理由は、「高齢化」「儀礼の簡素化」「一般家庭の年収減少」、また宗教離れが進み、葬儀に限らず冠婚葬祭全ての礼儀が簡素化する傾向にあることによるようです。 一方、家族葬と直葬を誤解される方もいますが、家族葬は身内だけでするお別れする方法であり、宗教的な儀式を省くとは限りませんし、自宅葬では安置する場所が自宅というだけで祭壇等は設置し、会葬者を迎える葬儀の種類となることから、安易に安価で済むともかぎらないようです。 |