ブログ
2.212022
法定相続人とは誰のこと?

1.法定相続人とは?
「法定相続人」とは、誰かが亡くなり、その亡くなった方(被相続人)の遺産等を相続する権利がある人をいいます。
相続人は、民法で以下のとおり定められています。
ⅰ)配偶者(民法第890条)
ⅱ)子(民法第887条)
ⅲ)直系尊属(民法第889条第Ⅰ項①)
ⅳ)兄弟姉妹(民法第889条第Ⅰ項②)
①配偶者について
配偶者は常に相続人となります。
配偶者は、法律上の婚姻関係にあるもの(婚姻届を出しているもの)で、婚姻関係にない内縁の妻や、愛人には相続権がありません。
②子について【第1順位】
子は相続人となります。実子(特別養子縁組をし、実親との親族関係がなくなった実子は除きます)、養子は問いません。胎児は、既に生まれているものとみなされ、相続できます。婚姻関係にない男女の間に生まれた非嫡出子も相続権があります。
③直系尊属について【第2順位】
亡くなった方(被相続人)に子がいない場合には(注)、被相続人の父母(養親がいる場合、その者を含む)が相続人となります。父母が亡くなっている場合に、祖父母が存命している場合は、その祖父母が相続人となります。
なお、実の親が亡くなっていた場合でも、養親がいる場合、養親が相続人となります。
(注)
子がいない場合には、子全員が相続放棄をした場合を含みます。
④兄弟姉妹について【第3順位】
亡くなった方(被相続人)に、子がなく、かつ直系尊属がいない場合(相続放棄した場合を含む)、兄弟姉妹が相続人となります。
2.代襲相続とは?
第1順位の子と第3順位の兄弟姉妹には、「代襲相続」があります。
「代襲相続」とは、本来相続すべき人が亡くなった方(被相続人)より先に死亡した場合、相続欠格(民法第891条)、廃除(民法第892条)で相続権を失った場合に、相続すべき人に代わって次の者が代わりに相続することをいいます。
〇第1順位:子の代襲相続人・・・孫(被相続人からみて)
〇第3順位:兄弟姉妹の代襲相続人・・・甥、姪(被相続人からみて)
3.法定相続分とは?
法定相続分とは、民法に定められた相続分のことです。
①共同相続人が配偶者と子である場合
◆配偶者と子の相続分は各2分の1です。(民法第900条第1項)
子が数人いるときは、各自の相続分は等しくなります。
例:子が2人いる場合:1/2 × 1/2 = 1/4 となります。
代襲相続人(孫)の相続分は、代襲相続人の親の法定相続分と同じです。
代襲相続人(孫)が数人いる場合は、子が数人いるときと同様の方法でそれぞれの相続分を算出します。
上記子の例で、子の一人が既に亡くなっている場合で、孫が2人いる場合。
1/4 × 1/2 = 1/8 8分の1の相続分となります。
なお、非嫡出子については、嫡出子と同じ相続分となります。
(平成25年9月5日以降の相続に適用)
②共同相続人が配偶者と直系尊属(父母等)である場合
◆配偶者の相続分は、3分の2で、直系尊属の相続分は、3分の1です。
直系尊属が数人いるときは、各自の相続分は等しくなります。
例:父母が存命の場合:1/3 × 1/2 = 1/6 6分の1の相続となります。
③共同相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合
◆配偶者の相続分は、4分の3で、兄弟姉妹の相続分は、4分の1です。
兄弟姉妹が数人いるときは、各自の相続分は等しくなります。
例:兄と姉がいる場合:1/4 × 1/2 = 1/8 8分の1の相続分となります。
兄弟姉妹の中に、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹がいるときは、その相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1となります。
例:上記兄弟姉妹の中に、一人、父のみ同じくする兄がいる時は
1/4 × 1/3 = 1/12 12分の1の相続分となります。
(父母を同じくする姉は、1/4 × 2/3 = 2/12 = 1/6となります)
(注)①~③を図にすると以下のとおりとなります。
相続人 | 配偶者 | その他の相続人 |
配偶者と子 | 1/2 | 1/2 |
配偶者と直系尊属 | 2/3 | 1/3 |
配偶者と兄弟姉妹 | 3/4 | 1/4 |
4.法定相続分とは違うように相続できるの?
共同相続人との間で、遺産分割協議書を作成し、遺産分割協議書に記載したとおりの内容で遺産(相続財産)を分割することに、共同相続人全員が同意すれば、法定相続分と異なる相続を行うことが可能となります。
しかし、共同相続人間で全員の同意が取れなく揉めて遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停・審判を申し立てることとなります。
その場合、遺産分割協議がまとまるまでに時間と労力を要することとなります。
5.遺産分割協議でもめないための方法はあるの?
共同相続人間でもめないためには、予め、遺言者が遺言書を作成して、その遺言書に相続内容と遺言者の思いを記載することで、共同相続人間でのトラブルが起こらないように予防することができます。
また、相続手続きも遺言書(特に公正証書遺言書)があれば円滑に進めることができます。
以 上。
遺言書(特に公正証書遺言)の作成についてのご相談は、じょう行政書士事務所まで。ホームページはこちらからどうぞ。
<お知らせ>
じょう行政書士事務所では、『遺言・相続手続き』講座を毎月第2・4土曜日に開催しています。
【ひとこと終活ガイド(その19)】
今回は、ブログ第1回目の『終活の一環として遺言書を作成しましょう』をご覧ください。
|