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7.182022
相続登記の申請が義務化されるの? 令和6年(2024年)4月1日施行。また、遺産分割協議書作成との関係はどうなるの?

1.相続登記の申請が義務化されるの?
・令和6年4月1日から、相続(特定財産承継遺言を含む。)や遺贈により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けされました。
2.相続が発生してもなぜ登記申請がされなかいことがあったの?
以下の理由が考えられます。
ⅰ)相続登記の申請が義務とされていなく、かつ、その申請をしなくても相続人が不利益を被ることが少なかった。
ⅱ)相続をした土地の価値が乏しく、売却も困難である場合には、費用や手間を掛けてまで登記の申請をするインセンティブが働きにくかった。
3.相続登記の申請が3年以内にできない場合どうしたらいいの?
・今回、相続人が申請義務を簡易に履行することができるように、『相続人申告登記』という制度が設けられました。
①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と、②自らがその相続人である旨を、3年以内に登記官に対して申し出ることで、申請義務を履行したものとみなされます。
・登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ履行したことになります。
(登記簿を見ることで相続人の氏名・住所を容易に把握することが可能となります)
なお、相続人が複数存在する場合でも特定の相続人が単独で申出することも可能です(他の相続人の分も含めた代理申出も可能です)。
4.3年以内に相続登記の申請をしなかったらどうなるの?
・正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象となります。
なお、個別事情を丁寧に酌む運用を行うため、「正当な理由」の具体的な類型については、通達等であらかじめ明確化される予定です。
「正当な理由」がある場合として、以下のような例が考えられています。
①数次相続が発生して相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース。
②遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース。
③申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース。 など
5.遺産分割と3年以内の相続登記の申請の関係はどうなるの?
以下、3年以内に遺産分割が成立した場合と成立しなかった場合に分けて対応することとなります。
①3年以内に遺産分割が成立した場合
・3年以内に遺産分割の内容を踏まえた相続登記の申請が可能であれば、申請する。
・それが難しい場合は、3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行った上で、遺産分割成立日(死亡日ではない)から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請を行うこととなる。
②3年以内に遺産分割が成立しなかった場合
・まずは、3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行う。
・その後に遺産分割が成立したら、遺産分割成立から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請を行うこととなる。
・その後に遺産分割が成立しなければ、それ以上の登記申請は義務付けられない。
なお、遺言書があった場合には、
・遺言(特定財産承継遺言又は遺贈)によって不動産の所有権を取得した相続人が取得を知った日から3年以内に遺言の内容を踏まえた登記の申請(相続人申告登記の申告でも可)を行うこととなる。
★上記記載の内容については、以下の資料をご覧ください。
令和3年民法、不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント
こちらからどうぞ⇒ 001375975.pdf (moj.go.jp)
<参考>
〇遺産分割とは
相続が発生(被相続人が死亡)した場合、被相続人の遺言書があれば、その遺言書が無効とならない限り、原則その遺言書に基づき相続財産の相続や遺贈等が行われます。
遺言書がない場合で法定相続人が複数いる場合は、その相続人間で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を取得するのか、遺産分割協議書を作成しなければなりません。
この遺産分割協議書に基づき、不動産の登記名義人の変更や預貯金の払戻し等を行うこととなります。また、相続税申告の際も必要な書類となります。
以 上
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