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法務局の自筆証書遺言保管制度の利用はどれくらいあるの?(22年9月は全国で1,450件あります)

1.法務局の自筆証書遺言保管制度を利用する件数はどれくらいあるの?

法務省の公表資料によると、令和2年7月10日から令和3年6月末までの1年間の数字【保管件数】は以下のとおりです。

 20,776件  (R2.7~R3.6末まで)

その後、令和3年7月から令和4年6月末までの1年間の数字【保管件数】は以下のとおりです。

 16,567件  (R3.7~R4.6末まで)

制度創設から1年で、約2万件となっています。一月あたり平均すると、月:1,700件程度となります。

その後は、一月あたりの平均件数は、1,380件程度となっています。

ここ8月、9月は保管件数が、1,400件~1,500件台となっています。

令和2年7月から現在までの推移は以下の公表資料のとおりです。

なお、法務省のホームページはこちらからどうぞ。

 221024.pdf (moj.go.jp)

 

2.自筆証書遺言書保管制度は誰がどこへ申請するの?

遺言者本人が遺言書保管所(法務局)へ出向いて、保管申請をすることとなります。

【本人確認があるので代理申請はできません】

なお、遺言書保管所(法務局)は以下のところから選択できます。

ⅰ)遺言者の住所地を管轄する遺言書保管所

ⅱ)遺言者の本籍地を管轄する遺言書保管所

ⅲ)遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所

但し、2通目以降、追加で保管の申請をする場合は、最初に保管の申請をした遺言書保管所に対してしか行うことができません。

◆保管申請の手順は以下のとおり

ⅰ)保管申請書を作成(法務省保管制度ホームページから様式ダウンロード可能)

ⅱ)保管の申請を予約(予約が必須)<上記3つの遺言書保管所から選択>

ⅲ)保管所に出向いて、保管の申請をする【手数料3,900円】

<必要書類>

ア)遺言書(ホチキス止めはしない、封筒も不要)

イ)保管申請書

ウ)住民票の写し等(本籍及び筆頭者の記載入り、マイナンバーや住民票コードのないもの、作成後3か月以内)

エ)本人確認のための運転免許証、マイナンバーカード等

ⅳ)最後に保管証を受け取る

保管証には、遺言者の氏名、生年月日、手続きを行った遺言書保管所の名称及び保管番号が記載されています。

(注)なお、保管証は、再発行ができません。

保管番号は、遺言書の閲覧、相続開始後に相続人などが遺言書情報証明書の交付請求等に使用するのに必要な番号となっています。

 

3.自筆証書遺言書保管制度はどのようなメリットがあるの?

次のようなメリットがあります。

ⅰ)法務局において適正に管理・保管される。

遺言書は、原本が遺言者死亡後50年間、画像データが遺言者死亡後150年間保管されます。

それ故、ア)遺言書の紛失・亡失の恐れがない。

イ)相続人等の利害関係者による遺言書の破棄、隠匿、改ざん等を防ぐことができる。

ⅱ)相続開始後、家庭裁判所における検認が不要。

ⅲ)相続開始後、相続人等が法務局において、遺言書を閲覧したり、遺言書情報証明書の交付が受けられる。

ⅳ)関係者へ通知が届く。

ア)関係遺言者保管通知

相続人のうちだれか一人が遺言書保管所において遺言書の閲覧をしたり、遺言書情報証明書の交付を受けた場合、その他の相続人全員に対して、遺言書保管所に関係する遺言書が保管されている旨のお知らせが届きます。

イ)死亡時通知

遺言者があらかじめこの通知を希望している場合に、その通知の対象とされた人(遺言者1名につき一人のみ)に対して、遺言書保管所において、法務局の戸籍担当部局との連携により遺言者の死亡の事実が確認できた時に、相続人等の閲覧を待たずに、遺言書が保管されている旨のお知らせが届きます。

【注意】

  なお、法務局では、民法の定める自筆証書遺言の形式に適合するかの外形的なチェックは受けられますが、遺言の内容についての相談には対応していただけません。

  それ故、当該保管制度は保管された遺言書の有効性を保証するものではないので、その点注意する必要があります。

4.それでは公証役場で作成される公正証書遺言の件数はどれくらいあるの?

最近の状況は、日本公証人連合会の公表によると以下のとおりです。

平成30年(2018年)    110,471 件

令和 元年(2019年)     113,137 件

令和 2年(2020年)      97,700 件

令和 3年(2021年)     106,028 件

令和2年は件数が減少しています。これは新型コロナの影響などがあったことによるのでしょうか。

令和3年は増加に転じ、また10万件台に戻りました。

 

日本公証人連合会のホームページはこちらからどうぞ。

令和3年の遺言公正証書作成件数について | 日本公証人連合会 (koshonin.gr.jp)

 

5.公正証書遺言作成する場合の手数料はいくらかかるの?

遺言の目的である財産の価額に対応する形で、次のとおり、その手数料が定められています。

 

目的の価額 手  数  料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1,000万円以下 17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下 23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 29,000円
5,000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額
10億円を超える場合 249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

なお、上記の基準を前提に、具体的な手数料を算出するには、次の点を留意する必要があります。

 

【具体的な手数料算出の留意点】

  • ①財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し、これを上記基準表に当てはめて、その価額に対応する手数料額を求め、これらの手数料額を合算して、当該遺言公正証書全体の手数料を算出します。
  • ②全体の財産が1億円以下のときは、上記①によって算出された手数料額に、11,000円が加算されます。これを「遺言加算」といいます。
  • ③さらに、遺言公正証書は、通常、原本、正本及び謄本を各1部作成し、原本は、法律に基づき公証役場で保管し、正本及び謄本は、遺言者に交付するので、その手数料が必要になります。

ⅰ)原本については、その枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書きの公正証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算されます。

ⅱ)また、正本及び謄本の交付については、1枚につき250円の割合の手数料が必要となります。

  • ④遺言者が、病気又は高齢等のために体力が弱り、公証役場に赴くことができず、公証人が、病院、御自宅、老人ホーム、介護施設等に赴いて、遺言公正証書を作成する場合には、上記①の手数料が50%加算されることがあるほか、公証人の日当と、現地までの交通費が掛かります。

<日当:1日2万円、4時間まで1万円>

6.具体的な事例では以下のとおりとなります。

遺言公正証書の作成手数料は、各相続人・各受遺者ごとに、相続させ又は遺贈する財産の価額により目的価額を算出し、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。

例えば、総額1億円の財産を妻に6,000万円、長男に4,000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は、上記「1.公正証書遺言作成手数料の基準の⑦」により、43,000円。

長男の手数料は「1.公正証書遺言作成手数料の基準の⑥」により、29,000円となり、合計額は、72,000円ですが、「留意点の②」により、11,000円が加算され、手数料は、83,000円となります。

当該手数料に、「留意点の③」の費用が加算されることとなります。

横書き原本5枚を要した場合は、原本超過分2枚250円×2=500円

正本(5枚)及び謄本(5枚)は、10枚×250円=2,500円。合計:3,000円

総計:上記83,000円+3,000円=86,000円です。

なお、祭祀の主宰者の指定を行う場合は、さらにその手数料として、11,000円が必要となります。

 

7.また、公正証書遺言の保存期間はどうなっているの?

公正証書の保存期間は、20年となっています。なお、特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間は保存しなければならないと定められており、現在の運用では、遺言者の死亡後50年、証書作成後140年または遺言者の生後170年間保存する取扱いとされているようです。

以 上。

 

なお、遺言書(特に公正証書遺言)の作成についてのご相談は、じょう行政書士事務所まで。ホームページはこちらからどうぞ。

 

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